最後の短篇企鵝の剥製

読んだ短篇についての雑な覚書を書くペンギンは絶滅しました。本博物館では、在りし日のタンペンペンギンの姿を剥製によって留めています。

奇想

Ling Ma, "Los Angels"(2022)

ここには百匹の元カレペンギンがいます!!!!!!!!!!!! 【概要】 ・4200ワードほど ・初出は Granta granta.com・アメリカ文学研究者の矢倉喬士が紹介していたので知った。ブッ飛んだ短編を見つけてしまった。100人の元カレと毎日遊んで暮らす話。…

Fernand A. Flores, "Ropa Usada"(2022)

背景 ・約2300ワード ・概要:膨大な数の古着が集積してエコシステムというか土地そのものになってしまった場所(倉庫?)で、キャシーという大学院生がネットで売る古着を探してちょっとした冒険を繰り広げる。 ・初出は The Common。第二短編集にして最新…

Charles Yu, "Troubleshooting"(2012)

・短編集"SORRY PLEASE THANK YOU"より。 ・前回の "Problems for Self Study"でチャールズ・ユウの短篇に興味が出てきたので、既訳の「システムズ」*1、「OPEN」*2、「NPC」*3を読み直したり(「システムズ」については初読)してたんだけどやっぱあんまり…

Kevin Wilson, “Excerpt from the Big Book of Forgotten Lunatics, Volume 1” (Hobart, 2012)

www.hobartpulp.com あらすじ ・約1200ワード。 ・タイトルを訳すと「『忘れられた狂人大全 第一集』より抜粋」。マイナーな狂人を集めて紹介する本からひっぱってきた文章です、という体裁。 ・この項では「失踪する野球選手」ことモーゼス・ケイジ(1960-…