最後の短篇企鵝の剥製

読んだ短篇についての雑な覚書を書くペンギンは絶滅しました。本博物館では、在りし日のタンペンペンギンの姿を剥製によって留めています。

形式が特殊

Alasdair Gray, ""The Great Bear Cult"(1970s?)

(ペンギン、熊に扮して議会に立つ。) ・[読んだとこ]『Every Short Story by Alasdair Gray 1951-2012』(Canongate Books Ltd)。全短編ってやつね。Every Short Story by Alasdair Gray 1951-2012 (English Edition)作者:Gray, AlasdairCanongate Book…

George Saunders, "I Can Speak!™"(1999)

ベイビーペンギン、しゃべる! 前書き ・『Disco Elysium』にあらゆる余暇を潰されているので未邦訳短篇を読むなんてヒマの極みみたいなことやってんらんないのよ。 ・別に未邦訳短篇ではなくてもいいのだけれど、先程言ったとおり『Disco Elysium』にあらゆ…

うそんこ文書アンソロジーに掲載された40作品のタイトルとその分類+α

(これは深夜に書類仕事に追われているかわいそうなペンギン)『FAKES: An Anthology of Pseudo-Interviews, Faux-Lectures, Quasi-Letters, "Found" Texts, and Other Fraudulent Artifacts』(2012)というアンソロジーをだいたい読んだ。タイトルどおり、…

Rick Moody, "Primary Sources"(1995)

画像はイメージです(This Image is an image.) 概要と背景とあらすじ ・初出は The New Yorker ・著者のリック・ムーディは1961年生のアメリカの作家。日本ではカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したアン・リー監督の映画『アイス・ストーム』の原作者として…

Richard Powers, “To the Measures Fall”(2010)

www.newyorker.com・4900ワードほどの二人称小説。 あらすじ ・1963年、アメリカから英国に留学中の大学三年生である「きみ You」(女性)は、春学期の終わりにコッツウォルズという島を観光していた。そして、たまたま立ち寄ったジャンク屋でエルトン・ウェ…

Kevin Wilson, "Excerpt from The Big Book of Forgotten Lunatics, Volume 1"(2009)

・The Rapture に掲載。 www.therupturemag.com ・1000ワード弱。 ・同じタイトルの短編が2012年にも書かれているが内容は異なる。「忘れられた狂人大全」という事典からの抜粋という体裁なので、同じタイトルで違う話がいくらでも書けるのだろう。 ・今回は…

Charles Yu, "Troubleshooting"(2012)

・短編集"SORRY PLEASE THANK YOU"より。 ・前回の "Problems for Self Study"でチャールズ・ユウの短篇に興味が出てきたので、既訳の「システムズ」*1、「OPEN」*2、「NPC」*3を読み直したり(「システムズ」については初読)してたんだけどやっぱあんまり…

Charles Yu, "Problems for Self Study"(2002)

・約2150ワードほど。 ・『Fakes: An Anthology of Pseudo-Interviews, Faux-Lectures, Quasi-Letters, "Found" Texts, and Other Fraudulent Artifacts』で読んだけれど、初出は『Harvard Review』の2002年秋号。ウェブに再録されていて無料で読める。チャ…