最後の短篇企鵝の剥製

読んだ短篇についての雑な覚書を書くペンギンは絶滅しました。本博物館では、在りし日のタンペンペンギンの姿を剥製によって留めています。

1001-3000 words

George Saunders, "I Can Speak!™"(1999)

ベイビーペンギン、しゃべる! 前書き ・『Disco Elysium』にあらゆる余暇を潰されているので未邦訳短篇を読むなんてヒマの極みみたいなことやってんらんないのよ。 ・別に未邦訳短篇ではなくてもいいのだけれど、先程言ったとおり『Disco Elysium』にあらゆ…

Fernand A. Flores, "Ropa Usada"(2022)

背景 ・約2300ワード ・概要:膨大な数の古着が集積してエコシステムというか土地そのものになってしまった場所(倉庫?)で、キャシーという大学院生がネットで売る古着を探してちょっとした冒険を繰り広げる。 ・初出は The Common。第二短編集にして最新…

Charles Yu, "Troubleshooting"(2012)

・短編集"SORRY PLEASE THANK YOU"より。 ・前回の "Problems for Self Study"でチャールズ・ユウの短篇に興味が出てきたので、既訳の「システムズ」*1、「OPEN」*2、「NPC」*3を読み直したり(「システムズ」については初読)してたんだけどやっぱあんまり…

Charles Yu, "Problems for Self Study"(2002)

・約2150ワードほど。 ・『Fakes: An Anthology of Pseudo-Interviews, Faux-Lectures, Quasi-Letters, "Found" Texts, and Other Fraudulent Artifacts』で読んだけれど、初出は『Harvard Review』の2002年秋号。ウェブに再録されていて無料で読める。チャ…

Kevin Wilson, “Another Little Piece” (Prime Number Magazine, 2010)

www.press53.com あらすじ ・約1900ワード ・人生に絶望している語り手(オスカー)のもとへ母親から自助グループのチラシが送られてきて、しぶしぶながら〈ミッシング・アワセルブス(Missing Ourselves)〉という団体に参加する。 ・〈ミッシング・アワセ…

Kevin Wilson, “Excerpt from the Big Book of Forgotten Lunatics, Volume 1” (Hobart, 2012)

www.hobartpulp.com あらすじ ・約1200ワード。 ・タイトルを訳すと「『忘れられた狂人大全 第一集』より抜粋」。マイナーな狂人を集めて紹介する本からひっぱってきた文章です、という体裁。 ・この項では「失踪する野球選手」ことモーゼス・ケイジ(1960-…