最後の短篇企鵝の剥製

読んだ短篇についての雑な覚書を書くペンギンは絶滅しました。本博物館では、在りし日のタンペンペンギンの姿を剥製によって留めています。

Kevin Wilson

Kevin wilson, "Kennedy"(2019)

(もちろんペンギンたちもビデオゲームがだいすき!) 【概要】 ・8500ワードほど。 ・初出は Subtropic subtropics.english.ufl.edu・Mariner Books の2020年度の年刊短篇傑作選に選ばれている。ちなみに翌年も同社の傑作選に"Biology"で掲載。 ・語り手が…

Kevin Wilson, "Scroll Through The Weapons"(2015)

カラヴァッジョっぽくしてくれっていったのにあんまりカラヴァッジョっぽくならなかった戦うペンギン 概要 ・第二短編集『BABY, YOU’RE GONNA BE MINE』から。初出は Ploughshares で、発表当時のタイトルは “An Arc Welder, a Molotov Cocktail, a Bowie Kn…

Kevin Wilson, “The Neck’s What Keeps Heart and Head Together”(2003)

背景情報 ・5450ワードほど。 ・ケヴィン・ウィルソンがまだ単行本も出していなかった24,5歳くらいのころの作品。 ・初出は Blackbird blackbird.vcu.edu あらすじ ・修道院で下働きしている日本人の母親と暮らすベッキー、ジェニー、キャリーの三姉妹。彼女…

Kevin Wilson, "Excerpt from The Big Book of Forgotten Lunatics, Volume 1"(2009)

・The Rapture に掲載。 www.therupturemag.com ・1000ワード弱。 ・同じタイトルの短編が2012年にも書かれているが内容は異なる。「忘れられた狂人大全」という事典からの抜粋という体裁なので、同じタイトルで違う話がいくらでも書けるのだろう。 ・今回は…

Kevin Wilson, “Blue-Suited Henchman, Kicked Into Shark Tank”(SmokeLong Quarterly, 2009)

・1000ワード弱 ・80年代に香港映画界で活躍した白人やられ役俳優(架空)リック・ショーの物語。 あらすじ ・「彼はサニー千葉から三回に渡って顔面に回し蹴りを喰らった。ゴードン・ラウ(劉家輝)は『六峰遊戯 Six Pints of Death』で彼の腕を棍棒で粉砕…

Kevin Wilson, “Another Little Piece” (Prime Number Magazine, 2010)

www.press53.com あらすじ ・約1900ワード ・人生に絶望している語り手(オスカー)のもとへ母親から自助グループのチラシが送られてきて、しぶしぶながら〈ミッシング・アワセルブス(Missing Ourselves)〉という団体に参加する。 ・〈ミッシング・アワセ…

Kevin Wilson, “Excerpt from the Big Book of Forgotten Lunatics, Volume 1” (Hobart, 2012)

www.hobartpulp.com あらすじ ・約1200ワード。 ・タイトルを訳すと「『忘れられた狂人大全 第一集』より抜粋」。マイナーな狂人を集めて紹介する本からひっぱってきた文章です、という体裁。 ・この項では「失踪する野球選手」ことモーゼス・ケイジ(1960-…