最後の短篇企鵝の剥製

読んだ短篇についての雑な覚書を書くペンギンは絶滅しました。本博物館では、在りし日のタンペンペンギンの姿を剥製によって留めています。

2023-01-01から1年間の記事一覧

Theodore Sturgeon, "How to Forget Baseball"(1964)

・初出はアメリカの総合スポーツ情報誌 Sports Illustrated (1964年12月21日号)。ネットの風聞によると同誌に掲載された唯一のSF小説だとか。ほんとかな。読んだのは Gateway 発行のスタージョン全集第11巻 The Nail and the Oracle (2013年、電子版) ・…

Ottessa Moshfegh, "No Place for Good People"(2014)

(タンペンペンギン、フーターズでご満悦) ・初出は Paris Review ■妻の死から一年が経ち、64歳のラリーはようやく新しい仕事を始めた。成年発達障害者施設での介添人(companion)だ。彼はポール、クロード、フランシスの10代〜30代の入居者たちを受け持つ…

Ottessa Moshfegh, "A Dark and Winding Road"(2013)

・初出は Paris Review。読んだのは短編集 Homesick for another world■妊娠中の妻と喧嘩した弁護士チャールズは家から飛び出して両親の所有していたキャビンで週末をやりすごそうと決める。マリファナを吸いながら弟のMJのことや学生時代に寝取った友人の恋…

サ!脳連接派『PROTOCOL TBD』(2023)

walkingchair.booth.pm 予約してない病院の待合室に1000人ぐらい並んでて無限の待ち時間が生じているあいだ(診察からは絶え間なくギロチンの刃が落ちる音と悲鳴が聞こえた)に読んだ。 大戸又氏率いる日本三大本格SF同人アンソロサークル、サ!脳連接派の新…

Anthony Doerr, "The Deep"(2011)

1914年にデトロイトで生まれたトムには心臓の持病があって、十八歳までは生きられないだろうと医者から宣告されていた。過保護な母親はトムの体を気遣ってほとんど家に閉じ込めるような生活をさせていたが、成長過程でルビーというダイバーを夢見る少女との…

Chuck Palahniuk の創作指南本 "Consider This"の序盤メモ

本書の概要 【イントロ】 【A Postcard from the Tour(1)】 【Texures】 ■テクスチャー:コミュニケーションの三つのタイプ ■テクスチャー:一人称、二人称、三人称を混ぜる ■テクスチャー:ビッグボイス対リトルボイス ■テクスチャー:アトリビューション(…